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森林生きものがたり

2020年02月11日

市房杉

市房杉
 市房山神宮までの登山道に林立している巨大な市房杉は「市房山神宮の信者が挿し木にとって植えた」と言い伝えられています。
 参道の長さ約1000m中、幹回り3m以上のものが43株あり、内訳として、3m以上が6株(鳥居より手前に多い)、4m以上が7株(八丁坂付近に多い)、5m以上が21株、6m以上が7株、7m以上が1株、8m以上のものが1株あります。この市房杉の樹齢は、小株は500年〜600年、大株は1000年を超えると言われております。
 また、昭和43年11月14日に完成した皇居新宮殿の天井板に2本献上されております。

平安杉

 市房山を代表する杉として、市房山神宮の建立年(807年)が平安時代であったことから命名されました。幹が途中で分岐せずに美しい樹形が保たれている杉としては、市房山で幹回り最大の杉です。心身の浄化・健康・長寿のご利益があるとされています。

双子杉

 幹周り8mを超える市房山最大の杉です。幹の途中から二股に分かれているため命名されました。二股に分かれた幹が協力して、1本の木を力強く支えている様は、団結力、協調性を連想させ、ビジネス・スポーツなどの勝利にご利益があるとされています。

夫婦杉

 市房杉のシンボル的存在であった夫婦杉は、2本の巨木が寄り添うように風雪に耐えている姿から「夫婦杉」と呼ばれ、この前で結婚式を挙げるなど縁結びの神様としても親しまれ、また、地域の誇りともなっていました。
 しかし、その夫婦杉は平成5年8月9日(1993年)から10日に接近した台風7号により、幹が折れる被害を受け、平成6年1月20日多良木営林署と市房神社関係者の手で切り倒され、その歴史に幕を閉じました。
 その存在があまりにも大きかったことから跡地に夫婦杉からとった苗木を植え、2代目夫婦杉として後世に残すことにしました。

初代夫婦杉の大きさ 男杉 女杉
胸高幹回り 7.02m 6.57m
樹高 37m 37m
新夫婦杉

 地元では「お嶽さん」と親しまれ、古くから縁結びの神として知られる市房山神宮。その市房山神宮の象徴として大切にされてきた夫婦杉が平成5年の台風で倒れたため、その後継として命名されたのが新夫婦杉です。初代夫婦杉と同じく良縁・夫婦円満と言った縁結びとしてはもちろん、子宝に恵まれるともされています。

千手観音杉

 八丁坂を登りきった石段から振り返ると見える杉で、左右にたくさん伸びた枝が、まるで千手観音を思わせることから命名されました。所願成就にご利益があるとされています。

ツクシアケボノツツジ

ツクシアケボノツツジ
 市房山中腹から山頂にかけて自生し、5月上旬から中旬の満開時には、明るく美しい淡桃色となり登山者を楽しませてくれるこのツツジは,熊本県指定の天然記念物になっています。水上村史には「昭和6年に今までのアケボノツツジと異なる新しい変種として公表された」と書かれています。葉の多くは、枝の端に5枚輪状になっており、形は楕円形で長さは2.5cmから4.5cmくらい、枝には毛がなく、花は濃い桃色で1〜2個ずつつき、雄しべは10本で雌しべの子房には毛は無い。

シャクナゲ

シャクナゲ
 派手で大きな花が特徴的な常緑低木。光沢のある葉っぱを持ち、花は漏斗状の合弁花で、枝先に球状に咲きます。花の色は白や赤系統が多いですが、黄色いシャクナゲも存在します。

ガクアジサイ

ガクアジサイ
 アジサイの原種で、高さは1.5〜2mほどあります。
 中央に沢山の小さな両性花が密集し、その周りを装飾花が囲むように咲きます。
装飾花はおしべとめしべが退化している中正花であり、花びらに見えるものが萼(がく)です。

ヒカゲツツジ

ヒカゲツツジ
 ヒカゲツツジは関東以西の本州、四国、九州に分布するツツジ科の常緑低木です。高さは1〜2mになり、和名の由来にもなった山地の崖や岩の上といったやや日当たりの悪い場所で生育しています。
 樹皮は灰褐色または灰白色をしており、薄片となり剥げ落ちます。
 葉は長さ4〜8cmの長楕円形で、枝先に輪生状に集まってつきます。表面は濃緑色、裏面は淡黄緑色で腺状鱗毛が密にあります。
 4〜5月頃、枝先に漏斗状鐘形の淡い黄緑色の花を2〜5個、咲かせます。大きさは5cm程で花冠は5中裂し、外面と子房に腺状鱗毛があります。

ゴイシツバメシジミチョウ

ゴイシツバメシジミチョウ
 シジミチョウ科の翅の開長1cm余の小さな蝶です。1973年(昭和48年)8月6日、市房山麓で小林隆史氏によって日本で初めて発見されました。翌年の7月20日に九州大学教養部の白水隆教授の調査隊によって生態が明らかにされ、1975年2月(昭和50年)種指定の国の天然記念物に指定されました。日本での発見を機に市房山産に白水教授より「ゴイシツバメシジミ」と命名されました。
 この蝶は中国、インドなどで発見されており、今から200万年以上前、日本がまだ大陸の一部だった頃の残存動物で、一属一種のシジミチョウ科の珍種と言われています。
 現物標本は、中央公民館に保管されています。

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